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日本薬科大学

歯磨きは健康のもと

  2017.12.25

こんにちは。今回のコラムは健康と歯磨きについて紹介します。


歯磨きと聞くと、虫歯予防、歯周病予防のために習慣的に行っているものと思っている方が多いと思います。当然、虫歯予防、歯周病対策には必要不可欠です。しかしながら、歯磨きはそれだけではありません。今回紹介するのは、虫歯や歯周病予防以外にも歯磨きが健康を維持するのに役立っている、というお話です。


 


皆さんはこの季節、風邪やインフルエンザ予防に外出した後にうがいをしていますか?うがいは、口腔や喉を清潔にして繊毛運動を活発にし、本来喉が持つ防御機能を高めます。さらにうがい薬を使えば殺菌効果により感染症を防ぐのに役立ちます。うがいは感染防御に有効ですが、その他にも歯磨きが感染防御に重要であることをご説明します。



 


風邪やインフルエンザは細菌やウイルスが原因で起こる感染症です。声がかすれたり、喉が痛んだり、咳、くしゃみ、痰などを引き起こし、発熱します。これらの感染症は、口から沢山のウイルスや細菌が日々侵入してくることで起こります。私たちには通常、口の中や喉には細菌やウイルスなどの侵入を防止してくれるはたらきがあります。このはたらきが弱くなると感染しやすくなってしまいます。


 


防御機構の一つが唾液です。唾液には細菌の増殖を抑える効果があります。ところが、唾液の出が悪くなり分泌量が減ると、細菌は食べかすをエサにして増殖し、細菌数を増やします。細菌は肉眼で見ることのできない大きさのため気にならないという方もいると思いますが、唾液の分泌量の少ない方は要注意です。唾液の分泌量の低い人では、正常な唾液分泌量の人より夕食後の細菌が約30倍に増えてしまいます。口の中が渇きやすい人は細菌数が増えて口臭の原因になり、また感染症にもつながりやすくなるのです。


二つ目の防御機構は正常な喉です。喉の粘膜には細菌やウイルスからの感染を防御するはたらきをもっています。喉を健康に保つことが最大の防御になります。風邪やインフルエンザに感染しないための心掛けとして、口の中の細菌を増やさないこと、喉を健康に維持することが重要になるのです。



 


さて、歯垢(しこう)についてご存知でしょうか?爪で歯をひっかいてみて下さい。


爪に白くネバネバしたものが付いてきませんか?これは食べかすではなく、歯垢です。歯垢は細菌の塊で、1mgあたりの歯垢にはおよそ300種類、数億~10億個もの細菌が棲みついています。歯垢は食後8時間で作られ、その中には虫歯菌や歯周病菌も沢山含まれています。


この歯垢は放置すると、酸を作り出し、歯や骨を溶かします。歯垢はさらに歯石(しせき)へと変化していきます。また、虫歯や歯周病の原因菌以外の細菌も存在しています。細菌の中には細菌から分泌された物質(プロテアーゼ)により、喉の粘膜を破壊してしまうものもいるため、つまり、インフルエンザに感染しやすい喉になってしまう、ということになります。


歯垢はうがいでは除去することができません。そこで歯磨きが重要になってきます。歯磨きは、歯垢を除去し口の中の細菌から分泌された物質を減少させます。朝一番の歯磨きは、インフルエンザの発症率を1/10に抑えたとの報告もあります。


虫歯予防や歯周病予防のために行っていると思われがちな歯磨きは、インフルエンザなどの感染症から私たちの体を守り健康を維持させてくれるのです。


 


今回、歯磨きがインフルエンザ対策に有効であることについてご紹介しました。この冬、風邪やインフルエンザなどに感染しにくい健康な身体作りの手段として、うがいに加えてこまめな歯磨きを取り入れてみてはいかがでしょうか。



 


日本薬科大学 薬学教育推進センター 准教授


脇 能広